プロダクトデザイン

Clear|透明ケースの基準を変えた革新

「透明ケースは必ず黄ばむ」そんな常識を覆すために、私たちは3年をかけて研究開発を行いました。そして誕生したのが、初の黄ばみに強い Clear 透明ケース。この開発は、市場の常識を変える転換点となりました。

10-14-2025

読了目安時間: 5 分

Clear|透明ケースの基準を変えた革新

透明ケースは、黄ばむのが当たり前?

こんな経験はありませんか?新品の透明スマホケースを買ったとき、そのクリアで美しい透明感に満足し、スマホ本体のデザインがくっきり見えることに感動します。でも、しばらくすると、あの「純粋な透明感」が少しずつ黄色く濁り、いつの間にかスマホの鮮やかな色を覆い隠してしまう。

「このブランドが悪いのかな?」と思って別のケースに変えても、数ヶ月後にはまた同じ結果。そして気づけば、まわりの友人も同じように黄ばんだケースを使っていて、「透明ケースはどうせ黄ばむもの」と自分に言い聞かせてしまう。

けれど、実はそれは避けられない運命ではありません。長年、消費者が仕方ないものとして受け入れてきただけの現実なのです。

RHINOSHIELDは、「透明ケースは、ずっと透明であるべきだ」という信念のもと、2018年から黄ばまない素材技術の開発に取り組み始めました。

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3年間の研究開発: 黄ばみへの挑戦の始まり

2016年、RHINOSHIELDは初のスマホケースPlayProofを発売しました。この製品では初めて透明素材を採用しましたが、市場に出回る他の透明ケースと同様に、黄ばみを防ぐことはできませんでした。その結果、この製品ラインは販売を終了し、黄ばむケースは社内でひとつの“失敗からの学び”として受け止められました。しかし、この経験こそがClear 透明ケース開発の原点となったのです。次に透明ケースをつくるなら、最初に解決すべき課題は「黄ばみをどう防ぐか」だと考えました。

透明ケースをつくること自体は難しくありません。業界では一般的にTPUフレームとPC背面パネルを組み合わせる構造が多く、この方法ならすぐに製品化できます。しかし、それでは黄ばみの問題は解決できず、私たちが理想とする品質にも届きません。そこでRHINOSHIELDは、「黄ばまない素材」を一から探すという道を選びました。

開発では、抗黄化性能、BPAフリーの安全性、単一素材設計、軍用レベルの耐衝撃性能など、現在では当たり前とされる基準をすべて満たす必要がありました。しかし2018年から2021年当時、それは一つひとつが大きな技術的ハードルでした。

製品開発はまさに時間との戦いでした。素材の選定や構造設計において多くの試行錯誤を重ねるだけでなく、毎年変化するiPhoneのデザインにも対応しなければなりませんでした。たとえば、iPhone 11の丸みを帯びた側面からiPhone 12のフラットなエッジ構造への移行は、製造工程そのものを見直す必要がありました。多くのメーカーが市場スピードを優先して製品を出すなか、RHINOSHIELDは品質への妥協を拒み、あえて難易度の高い挑戦を選んだのです。

厳しい条件設定のもとで、RHINOSHIELDは最終的に医療グレードの透明素材に辿り着きました。この素材はUVテストにおいて非常に高い安定性を示し、黄ばみのリスクを大幅に低減できることが確認されました。しかし、実際に素材を導入して製品化する過程では、サイズ精度や製造安定性の面で想定以上の課題が発生しました。何度も構造を調整し、試験を繰り返す中で、ようやく黄ばみにくさと長期的な安定性を両立できる最適なバランスを見つけ出すことができました。この長い試行錯誤の積み重ねこそが、Clear 透明ケースの確かな基盤を築いたのです。

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職人精神が生み出す、無垢の透明

市販の透明ケースは、スマートフォン背面とケースの間に気泡や擦り傷が生じるのを防ぐため、内側に微細なドットパターンを配置するのが一般的です。しかし、この構造は透明度や見た目の美しさを損なう要因にもなっています。

RHINOSHIELDは3年間の研究開発を経て、より厳格で妥協のない製造プロセスを選択しました。黄ばみに強い単一素材を採用し、ケース全体を一体成型することで全面的な保護を実現しています。交換可能なカメラリングとボタンにより、透明ケースでありながら個性とデザイン性を両立させました。

製造工程では、内外ともに完全な滑らかさを追求し、継ぎ目やドット、波紋のない完全な透明面を実現しました。このこだわりは「妥協しない設計思想」を体現しており、最高レベルのクリア感と細部にまで配慮した使用体験を提供しています。

こうした設計、実験、製品開発の過程には、外部からは見えない多くの試行と課題が存在しました。当時、独自の開発設備や専門チームを持たなかったRHINOSHIELDは、協力メーカーとの調整において度々懐疑的な反応や拒否に直面しました。これらの困難は、独立した開発拠点を持つことの必要性を強く認識させ、最終的に自社の研究開発センター設立へとつながりました。

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ゆっくりでも、完璧を貫く

3年以上にわたる開発期間中、市場では常に「RHINOSHIELDの透明ケースをもう一度出してほしい」という声がありました。それが大きなチャンスであることは、私たちもよく分かっていました。

しかし、理想の品質に到達していない状態で製品を出すことは、私たちの信念に反します。だからこそ発売を何度も延期し、「黄ばまない」と「無垢な透明感」という目標を本当に実現できるまで、時間をかけて磨き続けました。

この想いこそが、最終的にClearを誕生させたのです。

世界基準の検証と市場の変化

2021年、RHINOSHIELDはClear 透明ケースを正式に発売しました。本製品はSGSのUVテストを通過し、さらに168時間に及ぶUVおよび高温多湿環境での社内試験でも黄ばむことなく透明性を維持しました。これは、「黄ばみ防止」を設計の中核に据え、実際に市場で検証された世界初の透明スマホケースです。

発売当初の保証は「5年間黄ばみ保証」でしたが、その後さらに進化し、現在は「黄ばみに対する生涯保証」を提供しています。

万が一黄ばみが発生した場合は、使用期間に関係なく無償で1回交換が可能です。

これは製品への自信の表れであり、RHINOSHIELDがユーザーに対して掲げる長期的な約束でもあります。

Clearの登場は、消費者に新たな選択肢をもたらしただけでなく、市場全体にも変化をもたらしました。

その後、他ブランドも次々と抗黄化透明ケースを発表し、かつて「仕方のないこと」とされていた黄ばみが、今では「解決すべき課題」へと変わったのです。

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ブランドの精神と姿勢

PlayProofでの初期の試行から、Clearでの明確な成果をつかむまでの道のりは、素材特性の探求と理解、そして粘り強い挑戦を重ねて答えを見つけ出す過程でした。Clear 透明ケースは、単なる製品ではありません。それはRHINOSHIELDの製品開発に対する姿勢そのものを象徴しています。

「挑戦を通じて新しい基準をつくり、革新によって市場の常識を変える。」