プロダクトデザイン

Clear 透明ケース開発者インタビュー|なぜ私たちは、あえて“最も難しい道”を選ぶのか?

ClearケースのR&D (研究開発) チームへの独占インタビュー。その“透明”の裏には、RHINOSHIELDが決して妥協しないという長い挑戦の物語がありました。

01-20-2026

読了目安時間: 8 分

Clear 透明ケース開発者インタビュー|なぜ私たちは、あえて“最も難しい道”を選ぶのか?

4年にわたる挑戦:妥協しないという決意の代償

RHINOSHIELDにとって、“透明”とは単に見た目が透き通っているという意味ではありません。それは、誠実さと純粋さを追求する姿勢の象徴です。市場に出回る透明ケースの99%が“黄ばみ”を当たり前として受け入れている中、私たちは最も難しく、そして最も時間のかかる道を選びました。しかし、その道こそが透明ケースの新しい基準を定義した道だったのです。

以前お届けした「
Clear 透明ケースの開発ストーリー」に続き、今回はプロダクトデザインチームが語る「4年間の妥協なき挑戦」。黄ばみに対する生涯保証の裏側で、どのような技術的選択と価値判断が行われたのか、そのリアルな声をお届けします。

純粋な執念:黄ばみは“誠実さ”への妥協

Q: Clear開発の出発点を振り返ると、透明ケースの「黄ばみ」を解決することは、業界では“避けられない課題”とされていました。そんな中で、なぜRHINOSHIELDチームはあえてこの難題に挑み、常識を変えようとしたのでしょうか?

デザイナー Ronald:正直に言えば、PlayProofの失敗が、私たちが“黄ばみと戦う”決意を固めた転機になりました。Clearの前に「PlayProof」という透明ケースを発売したことがありますが、市場にある他の製品と同じく、最終的には黄ばんでしまいました。自分たちの製品が黄色く変色するのを見たとき、「それは透明ではなく“期限付きの偽の透明”だ」と気づいたのです。それは、私たちが掲げてきた「透明=誠実であること」という製品理念への裏切りでした。
黄ばみは単なる素材の劣化ではなく、ユーザーの信頼を損なう行為でもあります。だから私たち開発チームにとって、“偽の透明”を市場に出すことは受け入れられませんでした。もし再び透明ケースの開発に挑むなら、「抗黄化」は絶対に妥協してはならない最上位の基準にしなければならない。そうでなければ、作る意味がない。そう考えたのです。

デザイナー Fee:「透明」とは、純粋さ・誠実さ・デザインの本質を象徴する言葉です。私たちはユーザーに、スマートフォン本来のデザイン美をケース越しに感じてほしいと思っています。しかし、そこに黄色いフィルターが一枚かかるだけで、スマホの質感もデザイン言語も台無しになる。それは、デザイナーとして絶対に許せないことです。
デザイナーの使命は、“真の透明美”をそのまま届けること。この信念こそが、2018年に私たちが全面的にR&Dへ注力する決意を固め、市場に“本物の透明基準”を打ち立てるきっかけになりました。

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技術のトライアングル:私たちは決して近道を選ばない

Q: 黄ばみにくい透明ケースの開発を始めて2022年のリリースまで長い時間を要しました。その間で最も大きな技術的、または開発上の課題は何だったのでしょうか?

デザイナー Ronald:一般的に、市場に出ている透明ケースの多くは、TPU製のフレームとPC製の背面プレートを組み合わせた複合構造を採用しています。この方法は製造が安定しており、大量生産にも適している、いわば“簡単な道”です。しかし、この安易な道には見過ごせない欠点がありました。TPUは黄ばみやすく、PCにはビスフェノールA (BPA) が含まれており、さらに複合素材で作られた製品はリサイクルが非常に困難です。そのため、「単一素材・抗黄化・BPAフリー」という3つの条件を同時に満たすには、素材選定から設計・製造プロセスまで根本から見直す必要がありました。この“1+1+1の技術のトライアングル”を成立させることこそが、開発期間を大幅に延ばした最大の要因でした。

Q: Ronaldさんが言及したように、「抗黄化」と「BPAフリー」は初期段階の二大ハードルだったとのことですが、さらに「単一素材」という難題をあえて開発基準に加えた理由は?それにより、製造面で大きな壁は生まれませんでしたか?

デザイナー Fee:私たちの目標は、単に「黄ばみにくいケース」を作ることではありません。究極の美学的純度と、環境への責任を追求することでした。まずはデザインの純度です。市販の多くのケースは、異なる硬さの素材を組み合わせて作られていますが、どうしても素材のつなぎ目や隙間が生まれ、視覚的な一体感を損ないます。私たちは「継ぎ目なし・段差なし・ウォーターマークなし」という極限の透明感を実現したかった。そのためには、一体成型の単一素材こそ唯一の解答であり、唯一の理想形でした。医療グレードの高性能素材に出会ったとき、「これだ」と確信し、単一素材を開発の最も基本的なスタンダードとして定めました。デザインに“妥協”という選択肢は存在しないのです。
ただし、この決断は製造面で大きな抵抗を生みました。完全に継ぎ目のない透明ケースを作るには、金型開発に膨大な時間と労力を費やし、業界の限界を超える精度が求められたのです。私たちはパートナー企業と何度も調整を重ね、「同じ信念を持つ仲間」と出会うことでようやく理想の“無垢な透明”を形にすることができました。

さらに重要なのは、サステナビリティへの責任です。黄ばみにくいだけではなく、「地球にやさしい選択肢」であることを目指しました。複合素材の製品はリサイクル工程が複雑で、再利用がほぼ不可能。それは、私たちが掲げる“バージンプラスチック使用の削減”という理念に反します。だからこそ、私たちは素材の源流から単一素材にこだわる。透明というのは、単に“中が見える”という意味ではなく、「責任ある選択」を見せることでもある。環境倫理と安全基準を守るための揺るぎない信念。私たちは「単一素材」という基準を確立しましたが、本当の挑戦は、そこから始まったのです。

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素材と向き合った4年間の闘い

Q:「単一素材」という厳しい前提のもとで、この4年間、チームが直面した最も困難な技術的課題は何でしたか?

デザイナー Fee:単一素材という基準を確立した直後、私たちはそれが前例のない“技術的ブラックホール”を生み出すことをすぐに悟りました。素材の探索から成形プロセスに至るまで、すべての工程が限界への挑戦だったのです。高い耐衝撃性とBPAフリーを両立させるために最初に試した素材は、落下試験で容易に割れてしまい、すぐに採用を断念。過去に使っていた素材も、構造設計上の寸法安定性に問題があり、射出成形の際には表面に細かな欠陥が頻発していました。

転機は、ある大胆な試みから訪れました。当時、単一素材の条件は満たせないながらも、透明度と質感の面で有望な試作品はいくつか完成していました。そんな中、創業者のEricが全く新しい医療グレードの透明素材を持ち帰ってきたのです。「この高価な素材を試してみよう」と。その瞬間、チーム全員に大きなプレッシャーと期待が走りました。未知のリスクをはらみつつも、この素材には「単一素材で極限の透明を実現できる」可能性がありました。そして私たちは、その“希望の種”に賭けることを決意しました。

しかし、真の試練はここから始まりました。この新素材は、これまでの経験と常識を完全に覆す存在でした。私たちはその特性を一から学び直し、専門的な知見を駆使して、安定した成形プロセスへと導く必要がありました。素材を変えるたび、金型を調整するたびに、それは新しい製品を一から開発するような作業でした。チームは何度もテストと高水準の検証を繰り返し、ようやく素材の課題を克服し、ケースが長期間にわたってスマートフォンを確実に保護できる安定性を実現しました。

最終的に、この“完璧を追い求める執念”こそが、寸法安定性、再生可能性、BPA/F/Sフリーをすべて兼ね備えた医療グレード単一素材の実用化へとつながりました。Clearは、ただの透明ケースではありません。透明性・保護力・サステナビリティを共存させた、“真の透明という選択”の結晶なのです。

「ドット」に頼らない、真の透明を求めて

Q: 透明の極致を目指す中で、Clearは「継ぎ目なし、ドットなし、ウォーターマークなし」という完璧な表面を実現しました。なぜデザインチームは、市場で一般的な「内側のマイクロドット加工」デザインを採用しなかったのでしょうか?その背景にある最大の技術的ハードルとは?

デザイナー Ronald:これは、私たちが“工芸美”として最も困難な道を選んだということです。市場に出回る透明ケースの多くは、内側に微細なドット状のパターン、いわゆる「マイクロドット加工」を設けています。それは妥協の産物であり、スマートフォンの背面とケースが密着した際に発生する気泡やウォーターマークを防ぐための対策です。しかし、私たちは考えました。“本物の透明”とは、欠点をドットで隠すことではない。Clearが追求したのは、何も足さず、何も隠さない、純粋な透明そのもの。だからこそ、問題を根本から解決する必要がありました。

そのために私たちは、非常に繊細な単一素材を扱いながら、高精度な金型技術と製造プロセス管理を駆使し、ケース内部の表面を完全に滑らかに仕上げました。さらに、素材の厚みや公差をミクロン単位で制御し、透明度を犠牲にすることなくウォーターマークを完全に除去することに成功しました。こうして実現したのが、曇りも歪みもない“真の透明”です。手にした瞬間に感じられるそのクリアな美しさこそ、私たちが貫いてきた「真実の透明」への信念の証なのです。

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完璧主義、それは優しさを帯びた頑固さ

Q: 開発の途中で、「もうこのくらいでいい」「早く発売しよう」と妥協したくなった瞬間はありませんでしたか?何があなたたちを支え、前へ進ませたのでしょうか?

デザイナー Ronald:チームにとって、最大の挑戦は技術ではなく“心の持ち方”でした。私たちは、妥協しない道がどれほど険しいかを知っていた。だからこそ、「まだ改良の余地がある限り、マーケティングチームに引き渡すわけにはいかない」と全員が心に決めていました。開発が思うように進まず、Feeが悔しさで涙を流したこともありました。でも、彼は涙を拭い、再びペンを取り、図面を描き直し、素材テストに戻っていった。そうした瞬間を幾度も共有するうちに、私たちはより強い絆で結ばれたチームになったんです。

プロジェクト当初からの合言葉は、ただ一つ。「成功しか許されない」。Clearは、どの社員も胸を張って「絶対に黄ばまないケースです」と言い切れる製品でなければならなかった。その“確信”を持てるようになるまでに、何年もの試行錯誤と鍛錬が必要でした。

そして今、Clearは単なる透明ケースの一つではありません。それは、私たちRHINOSHIELDがユーザーへ届けるひとつの答えです。「たとえ4年かかったとしても、“透明”は、保護性があり、誠実であり、私たちの製品開発理念にかなうものであることを証明したい。」この信念こそが、Clearという名のプロダクトに息づく、RHINOSHIELDの本質です。

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軽さと保護、その限界へ挑む

Q: 現在、透明スマホケース市場はデザイン的にも飽和状態に見えます。他社も次々とカラー付きのクリアケースを発売していますが、もし次世代のClearを開発できるとしたら、どの部分を最も改良したいですか?

デザイナー Ronald:これからのキーワードは、やはり「軽さ」と「保護力」だと思います。ユーザーにとって最も魅力的なのは、「軽く見えて、しっかり守る」こと。その“物理的にも視覚的にも軽やかに見せるデザイン”をどう実現するか、まさに今取り組んでいるテーマです。近い将来、さらに進化した次世代のClearをお見せできるかもしれません。ぜひ、ご期待ください。

生涯保証の裏づけ:それは技術への確信の証

Q:4年にわたる“妥協なき挑戦”を経て、業界でも稀な「黄ばみに対する生涯保証」を打ち出しました。この大胆な保証が、RHINOSHIELDのブランドや開発チームにとって持つ本当の意味とは?そして、Clearケースを日常で使うユーザーにどんな価値を感じてほしいですか?

デザイナー Ronald:「黄ばみに対する生涯保証」は決してマーケティングのキャッチコピーではありません。それは、4年間積み重ねてきた技術的自信と経営的覚悟の実践です。科学的検証への信頼、素材選定と製造工程におけるチームの判断への信頼、そして何より「最高基準を貫く信念は正しい」という私たち自身への信頼。この保証は、いわば技術信頼の証明書です。私たちはClearの抗黄化性能が、透明ケース市場における新しい基準になると確信しています。

デザイナー Fee:私が最もユーザーに感じてほしいのは、「選ぶ自由」です。これまでユーザーは「透明さ」と「黄ばまない性能」のどちらかを選ぶしかありませんでした。しかし今、Clearならその両方を手にできます。スマートフォン本来のデザイン美を、安心して、長く、純粋なまま楽しめるのです。Clearはスマホを守るだけでなく、ユーザーの選択そのものを守る存在でもあります。この「長く続く透明と純粋さ」こそ、私たちが届けたい価値です。

Clearのすべてのディテールは、「簡単な道を選ばない」という姿勢、そして「信念を妥協しない」という意志の象徴。その揺るぎない姿勢こそが、私たちが生涯保証を掲げられる確信の源なのです。

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