12-03-2025
読了目安時間: 8 分
12-03-2025
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💡毎年どれほどのプラスチックごみが海に流れ込んでいるか、知っていますか?
国際自然保護連合 (IUCN) が2024年に発表した「Issues Brief: Marine Plastic Pollution」によると、毎年少なくとも1,400万トンのプラスチックごみが海に流出しており、これは海洋廃棄物全体の約80%を占めています。
さらに国連の持続可能な開発目標 (SDGs) 報告書によれば、そのうち約89%はレジ袋などの「使い捨てプラスチック」であり、毎年約130億米ドルもの経済損失をもたらしているといいます。そして、海はこの過剰消費の代償を背負わされています。
世界自然保護基金 (WWF) の「プラスチックが海洋生物多様性に与える影響」報告書では、プラスチック汚染がすでに海洋生態系のすみずみにまで浸透しており、世界の海洋生物の90%以上がその影響を受けていることが示されています。被害を受けているのはクジラやウミガメ、サンゴ礁といった海洋生物だけではなく、食物連鎖全体、さらには地球のシステムそのもののレジリエンス (回復力) までもが脅かされています。
海面に浮かぶごみの約80%がプラスチックで占められていますが、より深刻なのは、目に見えないマイクロプラスチックやナノプラスチックです。それらはすでに食物連鎖全体に入り込み、海洋生態系のバランスを崩しています。これは単なる環境問題ではなく、自然と人類の共存・競合関係をかけた世代を超える課題です。
私たちは信じています。製品設計から生産、消費、そしてリサイクルに至るすべての過程を「循環」を軸に再設計することこそが、この海洋危機に本質的に立ち向かう唯一の道であると。
WWFの報告によると、プラスチック汚染はすでに世界の海洋生物の90%以上に悪影響を及ぼしています。
- ウミガメはクラゲと間違えてビニール袋を食べてしまう
- サンゴはマイクロプラスチックの付着により白化現象が加速
- クジラは消化できないプラスチックごみを飲み込み、消化器官を詰まらせる
- 海鳥はプラスチック片をヒナに与えてしまう
- マイクロプラスチックは食物連鎖全体に蓄積し、最終的に人間にも到達する
プラスチックが本来あるべきでない場所に入り込むと、それは「ゾンビプラスチック」となり、数十年にわたって環境中に残留し、生態系を破壊し、海洋生命を脅かす存在となります。
2024年6月、フランス・ニースで開催された2つの国際会議が、世界的な海洋保護の取り組みを大きく前進させました。
One Ocean Science Congress (OOSC)
- 世界各国から2,000名以上の科学者が参加
- 世界の5大海洋課題に焦点を当て、科学的提言を共有
- 10項目の実行可能な戦略を国連海洋アジェンダに提出
第3回国連海洋会議 (UNOC3)
- 170か国以上が「Our Ocean, Our Future: United for Urgent Action(私たちの海、私たちの未来:緊急行動のために団結しよう)」という宣言を採択
- 特に以下の4つの主要目標が強調されました:
1. 海洋保護区の拡大
2. 海上輸送における炭素排出量の削減
3. プラスチック汚染への対策
4. 小島嶼国および沿岸国への支援強化
今後の海洋ガバナンスを形づくる3つの重要な動き
7月:深海採掘に関する国際交渉
8月:国際プラスチック条約 (Global Plastics Treaty) の進展
2024年末:国家管轄権外区域の生物多様性保全協定 (BBNJ協定) の推進
持続的な変化を推進するには、体系的な解決策と企業の社会的責任が不可欠となります。
💡プラスチック汚染を本当に解決するには?
ビーチの清掃やリサイクル活動は重要ですが、本当の解決策はデザインから始まります。
- 単一素材の革新:リサイクルを複雑にする複合素材を避ける
- リサイクルを前提とした設計思考:最初から再利用を想定して製品をデザインする
- グローバルなデザインの標準化:世界規模での回収・再利用率を向上させる
循環経済への移行を成功させるためには、プラスチック生産の発生源削減、製品ライフサイクルの延長、そして世界的なリサイクル基盤の強化が不可欠です。
💡循環型デザインを軸に、海洋プラスチック問題を同時解決!
材料技術ブランドとしてのRHINOSHIELDは、「保護」という使命をデバイスの枠を超え、地球全体の保護へと拡張しています。
CircularBlue™ イニシアチブ
2023年、RHINOSHIELDは海洋プラスチック汚染に革新的に取り組むためのCircularBlue™海洋廃棄物濾過プラットフォームを立ち上げ、初号機「ChangeMaker (チェンジメーカー)」の開発を進めました。
- デュアルモード濾過システム:浮遊ゴミとマイクロプラスチックの両方を回収
- モジュール式デザイン:多様な海洋環境に柔軟に対応
- 低環境負荷設計:省エネで二次汚染を回避
- AI自動制御:効率性とスケーラビリティを強化
RHINOSHIELD共同創設者兼CEOのエリック・ワン (Eric Wang) はこう語ります。
「私たちの使命は常に“保護”です。デバイスを守るだけでなく、地球を守ることも私たちの責任だと考えています。拡張可能なテクノロジーを通じて、海洋清掃をよりスマートに、より迅速に、そしてより大きな影響力をもって実現していきたい。」
この初号機は2025年に沖合での試験運用を予定しており、自動化・AI・循環設計を海洋廃棄物問題に応用するための大きな一歩となります。
プラスチックそのものが悪いわけではありません。問題は管理の不備と設計のあり方にあります。
RHINOSHIELDは、単一素材設計、再生素材の革新、CircularBlue™プラットフォームを通じて、プラスチックを“一度きりの消耗品”から再生可能な資源へと変革しています。
これが、私たちのサステナブルな未来への約束であり、循環型社会をリードするRHINOSHIELDの挑戦です。
🔗 CircularBlue™ イニシアチブの詳細を見る
▶️ プロジェクト動画を見る
- IUCN (International Union for Conservation of Nature). Marine Plastic Pollution: Issues Brief (April 2024). International Union for Conservation of Nature.
- UN SDGs (United Nations Sustainable Development Goals). The Sustainable Development Goals Report 2023: Special Edition.
- WWF (World Wide Fund for Nature). Impact of Plastic Pollution in the Oceans on Marine Species, Biodiversity and Ecosystems (February 2022).
- Environmental Information Center. “Better than Expected” — Outcomes of the Nice Ocean Conference: High Seas Treaty Expected to be Realized, Multiple Countries Expand Marine Protected Areas.
- UNOC3 (United Nations Ocean Conference). Third United Nations Ocean Conference, Nice 2025.
- One Ocean Science Congress. OOS 2025, Science for Ocean Action Manifesto.
- BBNJ Agreement (United Nations BBNJ Agreement). Agreement on Marine Biological Diversity of Areas beyond National Jurisdiction.
- UN Press Release. Nice Ocean Action Plan Signals Political Will for Global Action to Protect the Ocean.